上部構造セット後6年目を迎えた症例

こちらの患者さんとの初対面は6年前になります。

 

 

左下の奥から3番目の歯の根が破折されていた為保存困難となり、抜歯をする事になりました。

抜歯後の治療としてこの患者さんはインプラントを選択されました。

両隣りが生活歯(神経のある歯)なので他の歯に負担をかけないインプラントは理想的

な選択と言えます。

 

 

    

 

抜歯後、顎骨が回復するまで3ケ月待ち、インプラント手術を行いました。

順調に処置がすすみ、手術から5ケ月後、最終上部構造がセットされて

ここからメンテナンス期間に入りました。

1年後↓

フロスの使用が習慣になり口腔内全体が良好な状態でした。

 

2年後↓

インプラントは良い状態を保っていましたが天然歯にむし歯が見つかり治療を開始しました。

メンテナンス時は全顎的な歯面清掃と噛み合わせチェック、むし歯チェックも行います。

 

3年後↓

 

歯垢の付着部位を染色剤で染め出して日々の磨き方のクセ等などを発見していきます。

発音や食事に全く違和感がなく快適との事でした。

 

 

5年後

5年が経過しましたが顎骨とインプラント体の結合も良好で安定しています。

こちらの患者さんはこの5年の間に結婚、出産、引越しと環境に変化がありましたが

きちんとメンテナンスに通って下さっていました。

育児でお忙しくされながらもご自宅でのセルフケアも頑張られていらっしゃったので

インプラント周囲の粘膜が出血したり腫れたりすることもありませんでした。

インプラントを体の一部として大切にしてくだっさています。

インプラントにも細菌が増殖するポケットがあります。

インプラントも天然歯と同じように細菌が増殖するポケットがあります。

磨き残しから細菌が増殖し、周囲粘膜の炎症が進行してしまうとインプラントの場合は

感染が直接顎骨表面に広がります。

天然歯と大きく違う事は炎症の広がりです。

 

 

                         

赤く炎症を起こしている部分がインプラントの方は顎骨の方にまでひろがっています。

発音や食事等、天然歯と同じように使えることが長所のインプラントですが周囲の

血液の走行の違い等により感染には弱いのです。

上部構造がセットされたら終了ではなくその後のメンテナンスが大切というのは感染疾患を

防ぎ長期維持を目的とするからです。

上部構造埋入後5年経過「自分の歯がよみがえったみたい」

義歯は抵抗があるという事で抜歯後にインプラントを選択された患者さんがこの度

5年経過のインプラントメンテナンスに来院されました。

3本分の欠損部に2本のインプラントを埋入してブリッジタイプの上部構造をセットしました。

この部位は発音だけでなく食べ物を噛み砕いたりすり潰したりするのに重要な役割のある

奥歯です。こちらの患者さんは最終上部構造がセットされてからこの5年間きちんとメンテナンスに

通ってくださっています。

 

 

 

3歯分がつながった上部構造なのでフロスが通らないので細めの歯間ブラシを使って

毎日歯垢(細菌)除去をされています。当初は鏡を見ながらメンテナンスの度に練習をしました。

今では習慣になっているとの事で5年経過後も歯肉からの出血も無く、

「何の違和感も無くて自分の歯がよみがえったみたい」

と、とても明るい表情でおっしゃって下さった事が私もすごく嬉しかったです。

メンテナンスでインプラント周囲粘膜炎を解消します。

「インプラントはどれぐらい長持ちするんですか?」

よく受けるご質問です。

過剰な負担のかからない咬み合せで埋入し、メンテナンスを定期的に行っていると

「半永久的」

と言われています。

義歯が5年前後、ブリッジが8年前後と言われているのでかなり長く維持する事が可能です。

その為に必須なのがメンテナンスですが白数デンタルオフィスでは半年に一度のメンテナンスを

患者様にお伝えしています。

これは顎骨への感染を防止して長持ちさせるためですが、顎骨へ感染が及ぶ前にまずは

インプラント周囲粘膜の炎症から始まります。

 

 

 

 

天然歯の歯肉炎の状態とインプラントの周囲粘膜炎の状態です。

どちらも天然歯と歯肉、インプラント上部構造と周囲粘膜の隙間に汚れ(細菌)が入り込み、

赤みを帯びて腫れています。この時は出血も起こりやすくなります。

しかしこの状態なら細菌が増えつつあるこの隙間をクリーニンングする事で

元の良好な状態に回復させる事が出来ます。これは患者さんに一番負担のかからないメンテナンスです。

「半永久的」に維持するためには最低期間でも半年に一度は汚れを除去しましょう。

白数デンタルオフィスではきちんとメンテナンスに来院される患者様には10年の保証をお付けしています。

インプラントはメンテナンスが大切です。

インプラントの最終上部構造がセットされると

「手術」「糸抜き」「型取り」といった「治療」としての処置は終了となります。

インプラント体と顎骨との結合を待つ期間も含めると半年~1年前後にわたる治療期間が

終了する事になるので最終上部構造のセット日は毎回患者さんに

きちんと通院して下さってありがとうございました!!

という気持ちと

本当にお疲れ様でした!!

という気持ちでいっぱいになります。

 

でも実はここからが長期間の安定を継続させる

「メンテナンス」のスタートになるんです。

白数デンタルオフィスでは口腔内の状態に応じて

1ヶ月~半年毎のインプラントメンテナンスを行っています。

インプラントは上部構造が装着されたら終わりではないのです。

定期的なメンテナンスを続けてこそ快適な状態が維持できるのです。

当院での管理の一つに部位やメーカー名、サイズ、上部構造の種類なども記入出来る用紙を

作成して院内の歯科医師、スタッフ、みんなが情報共有できる様にしています。

 

 

もし今後、引越しや施設入居などになった時注意していただきたい事がすぐにお伝えできます。

メンテナンス時期になるとこちらからお葉書をお送りしてセット後何年が経過しているか

といったこと事もお伝えしています。

白数デンタルオフィスでインプラントメンテナンスが習慣になっている患者さんはとても

満足していただいてお会いするといつもイキイキしていらっしゃいます。

上部構造セット後の歯垢残存確認

白数デンタルオフィスに来院された時にはすでに右下に2本のインプラントが

埋入されていた患者さんです。

今回は右上の天然歯が保存困難になった為当院では初めてのインプラント埋入

手術を行いました。

今回もインプラントを選択されたのは現在のインプラントでの咀嚼や

発音に全く違和感無く日常生活を過ごされていらっしゃるからだと感じました。

 

埋入前

 

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埋入後

 

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埋入は2本で上部構造は3歯分のブリッジにする治療計画を立て、

顎骨との結合を確認した後、プロビジョナルレストレーション(仮の上部構造)を

セットしました。

ここから最終上部構造セットへ向けてセルフケアの改善が始まりました。

 

白数デンタルオフィスでは歯垢を赤く染め出して無意識的に磨き残ししやすい部位や

磨けていない部位を患者さんと一緒に確認していきます。

 

こちらの状態はかなりプラークコントロールが不良な状態です。

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ブラッシングの練習を行い、2週間後にはずいぶん歯垢の

減少が確認できました。

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同じ部位の噛み合わせの面にも歯垢が多く残っていましたが

 

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次の来院時には減少しています。

 

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この歯垢減少に至ったブラッシング方法は実はとっても簡単な事だったんです。

「端から磨き始めたら反対側の端にいくまで歯ブラシを離さない」

です。

イラストの青い波線のような方向で表側裏側と磨きます。

こうすると確実に全ての歯に毛先があたります。

 

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今までの上下左右あっちこっちと歯ブラシを動かしていた磨き方をちょっと変えただけで

口腔内の細菌数は減少できるんです。

歯間ブラシやフロスも必須ですがまずは歯ブラシ1本の使い方から見直していきました。

患者さんの生活環境、背景、口腔内、利き手はどちらか?など諸々な事を考慮して

ストレスにならず一番効率的な方法を日々考え、お伝えしていきたいと思っています。

上部構造セット後半年経過した状態

前回のメンテナンスレポートの続きです。

インプラント埋入手術から4ヶ月が経過した結果良好な歯肉状態が

獲得出来た為、上部構造のセットへと治療を進めていきました。

下の写真は「プロビジョナルレストレーション」(仮の上部構造)がセットされて

1週間が経過した時の写真です。

歯垢が赤く染まる染色剤で磨き残りの確認を行いました。

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インプラント上部構造には目立つ歯垢はありませんが両隣接には

歯垢が赤く染まっているのが認められます。

金属の被せ物も入っている為に段差が出来てしまい歯垢が付着しやすい

というリスク部位ではありますがこの状態が続くとインプラント部の歯肉に

悪影響です。

ここで前回のメンテナンスで練習したワンタフトブラシを歯と歯の隣接部に

あてて磨くようにお伝えしました。

 

ワンタフトブラシの使い方[1]

始めのうちは鏡を見ながら使用する事をおすすめします。

確実にあたっていないと歯垢除去にならないからです。

こちらの患者様は大変意識が高く頑張って磨かれていたので

フロス(糸ようじ)で接触面を通過させるケアも加えました。

 

flos_img05

歯ブラシ、ワンタフトブラシ、フロスの3品で歯垢除去する事が理想ですが

体調や時間の都合で出来ない時もあると思います。

ただ、

「正しい使い方を知っておく」

「出来る時はきちんとする」

この二つをおさえて頂きたいと思っています。

最終上部構造セット後半年経過

IMG_16.7.2

歯肉も引き締まり、両隣接の天然歯との違和感も感じさせないほどの

良好な状態です。

インプラント埋入手術直後

5257_オペ後

最終上部構造セット後半年後

5257_16.7.2

インプラント部だけでなく天然歯も含めた全体の歯面清掃がレベルアップされています。

インプラント埋入手術後のプラークコントロール

インプラント埋入手術後は顎骨とインプラント体が結合する

大切な期間です。この期間中は来院の必要はありませんが

ご自身での口腔清掃が重要です。インプラント手術を成功に

導くための決め手と言っても過言ではありません。

インプラント埋入手術直後パノラマX線写真

5257_オペ後

手術後の状態を断面図にするとこのようになっています。

 

imp003[1]

 

「ヒーリングアバットメント」というキャップが歯肉から覗いている状態で

上部構造がセットされる際の歯肉の形を作っていきます。

この状態で今回はインプラント体が顎骨と結合するまで約4ヶ月待ちました。

 

yjimage[2]

実写真です。手術後1週間が経過した状態ですが両隣接の歯と

ヒーリングアバットメントに大量の歯垢が付着しています。

 

5257_15.4.11ヒーリンク

手術直後はその部分を磨く事に抵抗があったと思うので多少の

歯垢の付着は仕方ないと思います。

が、1週間が経過して傷口も回復してきたのでここからは丁寧なケアで

歯肉をしっかり引き締めていかなければなりません。

提案したのはワンタフトブラシ「プラウト」です。

yjimageプラウト

普段の歯ブラシに加え、この「プラウト」の山型になっている毛先の部分を

ヒーリングアバットメントとその周囲、両隣接の歯の付け根の部分に使って

いただく事をお願いしました。

3ヶ月が経過した状態

ヒーリング15.7.25_

歯茎も引き締まりプラーク除去も上手にされていて

きちんとブラッシングされていた成果が口腔内に表れています。

この状態なら安心して上部構造作製のための型取りの段階に

進めます。